SEA プロジェクト プレイベント3-1
特別上映+トークショー
「映画から見るシンガポール・マレーシアのアイデンティティ」 イベント概要

イベント概要

  • 日時:2017年1月22日(土) 13:00~17:55
  •          1月29日(土) 13:00~16:40
  • 会場:国立新美術館 講堂
  • プログラム:
  • 司会 喜田小百合(国立新美術館アソシエイト・キュレーター)
22日
13:00 イントロダクション
13:05 『Sandcastle』上映
14:50 トークセッション
松下由美(映画プレゼンター/キュレーター/プロデューサー)
滝口健(アジアン・シェイクスピア・インターカルチュラル・アーカイブ副代表)
片岡真実(森美術館チーフ・キュレーター)
米田尚輝(国立新美術館研究員)
モデレーター:武田康孝(国際交流基金アジアセンター)
16:05 『細い目』上映
18:00 終了
29日
13:00 イントロダクション
13:05 『細い目』上映
14:55 休憩
15:10 『Sandcastle』上映
16:40 終了
受付風景
会場全体の様子

開催まで半年を切った2017年1月22日と29日、「サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで」の第3弾プレイベント としてシンガポール映画『Sandcastle』(2010)と、マレーシア映画『細い目』(2005)の上映会を開催しました。一度は同一の国家として成立しながらほどなく分裂した両国には、それぞれに複数の民族や言語、宗教が存在し、そこで生きる人々は意識する・しないにかかわらず自らと他者との違いに対峙せざるをえません。かたやそこから浮き上がってくる問題は、分裂後にたどった両国の異なる道のりによって、様相を異なるものにしてもいます。上映された2本の作品では、ともに主人公となる20歳前後の多感な男女が、否応なく直面するそうしたアイデンティティの問題に向き合いながら、同時に自らの青春物語を紡いで、観客の感動を誘いました。22日には映画の内容を入り口に、美術や舞台芸術にも話題を広げた約1時間のトークショーも催しました。登壇者の滝口氏が『Sandcastle』について述べた「シンガポールが抱える大変さというか、自分たちで国をつくっていかなければいけない、常にアイデンティティを確立していかなければいけないという、ある種の重荷みたいなものを感じながら観ていました」という言葉は象徴的です 。マレーシアにもいえることですが、こうした国家の状況がさまざまな表現に及んでいることが、トークのなかで確認されました。

7月開催の「サンシャワー:東南アジアの現代美術展」ではASEAN10か国を対象とし、9つのテーマを掲げます。今回のイベントはその一端であるシンガポール、マレーシアのアイデンティティを見つめ、展覧会全体への期待を高める内容となりました。

上映作品

『Sandcastle』(ブー・ジュンフェン監督)

『Sandcastle』スチール
舞台は90年代のシンガポール。18歳のシャンエンは、兵役までの日々を祖父母の元で過ごすことになる。そこで
祖父から、死んだ父親が学生時代に反政府運動にかかわっていたという、母からは語られなかった話を聞く。
同時に自国の歴史を知り、初恋も経験し、自己と向き合うことに……。
2016年秋、東京国際映画祭で最新作『見習い』が上映され大きな反響を巻き起こしたブー監督の長編第一作。
2010年/シンガポール/91分

 

『細い目』(ヤスミン・アフマド監督)

『細い目』スチール
金城武が好きな17歳のマレー系少女オーキッドと、路上でVCDを売り糊口をしのぐ中華系の青年ジェイソン。
市場で出会った2人は、いつしか互いに惹かれあっていくが……。
マレーシア国内に厳然と存在する民族の壁を越えた作品群を短期間に発表し、2009年に急逝したヤスミン監督の初期作。
2005年/マレーシア/107分/日本語・英語字幕

トークショー登壇者

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滝口健

オンライン・デジタルアーカイブ「アジアン・シェイクスピア・インターカルチュラル・アーカイブ」副代表/翻訳エディタ-(PhD)。ドラマトゥルク、翻訳者。アジアン・ドラマトゥルク・ネットワーク創立メンバー。
国際交流基金クアラルンプール日本文化センター副所長、クアラルンプール・パフォーミングアーツセンターコンサルタント(国際プログラム担当)、劇団ネセサリー・ステージ(シンガポール)運営評議員、シンガポール国立大学英語英文学科演劇学専攻リサーチフェローなどを歴任。2002年、キャメロニアン・アーツアワード(マレーシア)特別賞受賞。

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松下由美

映画プレゼンター/キュレーター/プロデューサー
幼少期と高校時代を東南アジアで過ごす。ヨーロッパへ留学・インターン経験後帰国しフリーランスとなる。メディア/映画製作・コンサルティングを行い外国作品のライン・プロデューサーを務める(「99分、世界美味めぐり」など多数)。映画関係の司会・通訳・執筆(「キネマ旬報」他)やキュレーションをするかたわら2009、2012年にSintok シンガポール映画祭を東京で主催。現在は映画を通して若い世代と世界・社会の課題をつなぐ活動、多様性・多言語社会をテーマに取り組んでおり、連携して講義やワークショップを行う教育機関や団体を求めている。

登壇キュレーター・司会

  • face_kataoka片岡 真実
    森美術館
    チーフ・キュレーター
  • face_yoneda米田 尚輝
    国立新美術館
    研究員
  • Kida_face喜田小百合
    国立新美術館
    アソシエイト・フェロー
  • takeda_face武田康孝
    国際交流基金
    アジアセンター

写真: 川本聖哉

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